 
    
    手間ひまかけた昔ながらの作り方で、毎朝手づくりしています。
    今では流行らない作り方かもしれませんが、この味が良いと言っていただけるお客様がおられる限り、
    祖父や父から受け継いだ、この手間ひまかける作り方を続けていけたら本望です。
    
毎日同じ行程を繰り返すからこそ、ひとつひとつを「丁寧に」。
 
    
    皆さんご存知の通り、豆腐屋の朝は早いです。
    朝4時、5時から仕込みを始めます。毎日毎日、同じ行程の繰り返しですが、一つとして気を抜いて良いという行程はありません。むしろ、同じ行程だからこそ「丁寧に」。それが杉田とうふ屋が受け継いできた、創業から変わらない財産なんです。
    そんな毎日の行程を少しでもご紹介できればと思います。
    
作る製品や季節によって、水加減や大豆のすり潰し加減が違います
 
    
    素材となる大豆は、大豆の種類や季節によっても変えていますが、前日の夕方から
    9~24時間ほど水につけておきます。
    よく水をきった大豆は、まず石臼のような機械にかけ、すり潰します。
    この時のすり潰し方や水の量など、微妙な加減が最も重要です。
    水分を少なくして細かくすり潰すと絹ごし豆腐や木綿豆腐の原料に。水分を多くして粗くすり潰すと油揚げ等の原料になり、このすり潰された大豆を「呉(ご)」と言います。
    
蒸気で煮ることで、焦げやムラのない繊細な仕上がりに
 
    
    火を使って煮ると、どうしても焦げてしまったりムラができてしまったり、均一な美味しさになりません。
    そこで、しっかりと温度を管理し、蒸気を使って呉(ご)を蒸します。
    その後、隣の絞り機へ移動。しっかりと絞り、豆乳とオカラに分けます。
    
    最近は木綿豆腐の場合でも絞りを1回で済ませるのが流行っているそうですが、杉田とうふ屋では
    昔ながらの方法にこだわり、木綿と絹ごし豆腐の味と食感の違いをはっきりさせるために、
    絹ごし豆腐は1回、木綿豆腐は2回絞りで作っています。
    
    大豆のすり潰し方にこだわっているため、豆乳がとても濃く美味しいと評判で、93歳になる
    お婆ちゃんが毎朝10分も歩いて買いに来てくださるほど。
    「他のじゃダメ」というその言葉を聞くと、ああ嬉しいという気持ちとともに、明日もまた
    頑張ろうと、気が引き締まる思いがします。
    
実は調製が難しい「100%のにがり」
 
    
    そして、実は難しいのが「100%のにがり」を使うこと。
    遅効剤などが混ざっている凝固剤を使う方が簡単にできるのですが、お客さんが喜んでくれる美味しい
    豆腐を追求すると、やっぱり難しくても混ぜ物の無しの「100%のにがり」でなくちゃいけません。
    
    かき混ぜ方にもまたコツがあり、この行程に関しては何とも説明が難しいのですが、
    長い間の経験と職人の勘、温度や見た目を頼りに進めていき、最後に豆腐の型に流し込みます。
    
夫婦二人三脚
夫が作った豆腐を切るのは妻の仕事
 
    
    ずっと夫婦二人三脚で続けてきた豆腐づくり。
    作業分担も呼吸が分かっているので、あまり言葉はいらないんです。
    お豆腐を切る仕事は妻の役目。とにかく仕事が丁寧です。
    
    そうそう、お豆腐は切った後、水の中に入れたまま売っているのですが、
    豆腐を店頭で買うのが初めてのお客様には、豆腐が売ってないように
    見えるようです。
    
    木綿か絹か言ってくだされば、冷たい水から上げてお出ししますので、
    お気軽にお声をかけてください。
    
ふわっとした油揚げは、油の温度が大切です
 
    
 
    
    杉田とうふ屋の、もうひとつの名物「油揚げ」。
    油揚げができるまでなんて、ご覧になったことの無い方も多いのではと
    思いますので、簡単にご説明しますね。
    
    油揚げ用に作ったお豆腐を薄く切り、重しをして1時間ほど水分を出します。
    それをまずは、120度の菜種油でじっくりと揚げることでふわっとした食感を出します。
    仕上げに180~200度の油に移し替え、カラっと仕上げたら油揚げの出来上がりです。
    
    100枚作るのにも、なんと約4時間。丁寧に時間をかけて出来上がった油揚げは、
    「この油揚げじゃないと、みそ汁の味が違う」と、引っ越された先からもわざわざ
    車で買いに来てくださるお客様もおられるほど、豆腐と同じくらいの人気があるんですよ。
    最近メニューに加えた、ふわふわの油揚げで作った「いなり寿司」も、美味しいと
    お声をかけて頂く事が増えてきて、よりたくさんの方に召し上がっていただく
    機会が増えたと喜んでいます。
     
 
    
「豆腐に旅はさせるな」という言葉もあるくらい、実は豆腐は繊細な生もの。
ですので遠方の方には申し訳ございませんが、杉田とうふ屋では店頭販売のみとさせて頂いております。ぜひ一度、足をお運び頂き、濃い豆腐のできたての味を楽しんで頂ければ嬉しいです。


 
 



 
    
